日本および日本人 Japan and Japanese

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Japan and Japanese】

以下は2000/03/08の上埜進 による主張です。6年間経過した今日、国際社会における日本のプレゼンスは、心配した通りに大きく低下しています。北米や欧州のメディアに日本が取り上げられることは希になりました。日本は「普通の国」ではなく、「並の国」ないし「中級国家」になりつつあると思います。無為無策のまま、このトレンドに身を任せてよいのでしょうか(上埜進記 2006.02.08)。

 

 

小さく見られる日本:政治家とマスメディアの責任

論点 1980年代には、経済力で米国を追い抜く日本が、米国の土地や米国の企業を買い占めるとの主張に遭遇することも希ではなかったが、近年、国際経済の専門家でさえも、日本は普通の国にすぎず、中国が米国に次ぐスーパー・パワーであるとの認識が広まっている。これは、誤った主張であり、日本の国益のためにも早急に正すことが必要である。こうした誤った認識を米国で浸透させた責任の一端は、日本のマスメディアや政治家にある。

豊富な安価な労働力に加え、日本や欧米、台湾等からの外資による技術浸透もあり、中国の経済、産業は成長を続け、価格競争力を増した外資系企業による輸出の増大が、中国の外貨準備の日本に次ぐレベルにまで引き上げた。1990年代を通してコンスタントに成長を続けた中国国内市場は、市場としての魅力を高め、加えて、12億という人口が市場規模をさらに拡大させるであろうという期待感を高め、そうした期待感が、日本の数分の一に過ぎない中国経済が、既に日本を凌がしたかのような印象を世界に与えている。

海外での日本に関するニュースは、ここ数年、銀行の倒産や、経済停滞といった、日本経済があたかも沈没してしまうかのような印象を与えてきた。日本のマスメディア、政治家、オピニオン・リーダー等の自虐的な報道や言動、ならびに公的資金投入時にみられたように日本国民のヒステリックな言動が日本の国益を大いに損なってきた。新聞や週刊誌、米系証券会社、ムーディーズ等の格付け機関、民主党や自民党等の一部政治家は、金融機関の危機を必要以上にあおり、風説の流布ともいえる言動を繰り返し、結局、北海道拓殖銀行、山一証券、長銀、日本債券信用銀行等を倒産させた。これは、金融機関だけでなく日本全体の印象を著しく悪化させ、国民経済に多大なダメージを与えたのである。

日本の過小評価に導くこうした言動が、米国と中国の覇権を増長させ、国連では米国とほぼ匹敵する2割以上の負担金を支払いながら、常任理事国にもなれないという現況を作り出している。また、経済援助を与え続けてきた中国に、ロケット技術や核技術で遅れをとっているという、ふがいない現状にありながら、核装備や軍事力の高度化を唱えた大臣を、中国と同じスタンスでたたき、その首を飛ばすというのは、全く情けない。日本の大新聞の論調は、中国の政府機関紙と論調を一つにして、国益を損なってきたことが少なくない。

軍事力が米国と中国の覇権の基礎にあるならば、日本は経済力と技術力を駆使して、より高度で効率的な軍事力の構築に進まなければ、米国ばかりか、中国にさえも、国際社会で屈することになる。現実に膝まづいており、この現況から脱出できないのである。マスメディアに携わる人は、海外の人々と直接意見を交わし、国際政治や国際経済の力学を勉強してほしい。これまで、少なからずの論調が日本の国益を害し、他国を利してきたことを早く気づいてほしいのである。

なお、成田空港に降り立つとき、そして東京への帰途、この数十年、空港や日本の町並みの貧弱さをいつも味わされてきた。世界第1位の債権国である日本は、社会インフラに関して、発展途上国の多くにさえ劣っている。戦後最悪の失業を抱え、働く意欲が充分にある中高年や若年層に仕事がない今日、なぜ、ニューディール政策に匹敵する国家改造事業が実施されないのだろうか。国際収支の壁による引き締め政策をとらざるを得なかった昭和三十年代と異なり、お金はふんだんにあり、インフレの心配も全くないのである。仕事のない人に仕事をつくり、社会基盤づくりのために働いてもらうことが子孫に付けを回すと、批判することは正しいのだろうか。新聞記者には経済と社会の仕組みをもっと勉強してほしい。国民生活の向上につながる政策を見極め 、サポートすることが職業人としての責務であろう。世論を誤導したり、一部政治勢力に荷担したり、あるいは大衆に迎合することは、モラル・ハザードであり、専門職業人に値しないと自覚すべきであろう。

上埜進、2000/03/08 執筆