米国の日本観は1990年代後半から大きく変わり、「日本は滅び行く国(dying country)」といった極端な見方になっています。そうした見方を払拭させ、正しい日本理解を醸成することは日本の国益上大切です。私は、米国の大学研究者とよく話し合いますが、、GNP、GDP、対外収支、特許等の研究開発力、教育レベルといったマクロ指標、国民の仕事ぶり、文化、社会の成熟度、国民生活のいずれをとって米国に劣る項目は1つもないと、いつも主張してきました。
低賃金国である中国への工場移転により近年失業率が高まり、経済構造を変革していく必要性は、私も理解しております。しかし、これは時間をかけながら企業が努力することで解決できます。また、銀行がかかえる不良債権問題も、日本経済の変革と共に、解消していくものであり、不良債権解消のために企業を次から次に倒産させ失業者を増大させることは日本国民の利益にならないと言えます。こうした意見を私は米国で常に主張してきました。
日本政府の経済閣僚や言論人に、米国のヘッジ・ファンドや投資銀行の主張を鵜呑みにして、彼らの利益を代弁し、日本経済を誤った方向に導こうとしている勢力が存在します。そうした人たちは、国内においても海外においても、「日本悲観論、日本売り」を喧伝してきました。
日本国、日本企業、日本国民の姿や実力を正当に評価させるのは日本国民の責任です。
Susumu Ueno (May 25, 2002)