San Jose Mercury News (発行部数35万部の有力地元紙の副編集長Ms.
Thompson にインタビュー)
年間に
10名程度採用するインターンのうち、ジョブ・オファーをするのは1名程度という。同社がジャーナリズム専攻生のインターンシップに協力する第一の目的は、インターン経験者を卒業後に正社員に採用することにあるのではなく、彼らの若い感覚を紙面に反映すること、あるいは、記者が年休をとった場合の代替要員といったこと、すなわち、現時点での戦力ないし労働力の補完にある。
San Jose Mercury News (発行部数35万部の有力地元紙の副編集長Ms.
Thompson にインタビュー)
年間に
10名程度採用するインターンのうち、ジョブ・オファーをするのは1名程度という。同社がジャーナリズム専攻生のインターンシップに協力する第一の目的は、インターン経験者を卒業後に正社員に採用することにあるのではなく、彼らの若い感覚を紙面に反映すること、あるいは、記者が年休をとった場合の代替要員といったこと、すなわち、現時点での戦力ないし労働力の補完にある。
The Larose Group
(同社は正社員3名の零細パブリシティ会社で正社員とインターン社員にインタビュー)
public
relations agencyとしての同社の業務内容は、イベント実施者から依頼を受け、イベント開催をマスメディアに売り込む、広告の掲載を斡旋するといったものであろう)
零細企業でもあり、インターン採用を要員計画に組み入れて企業経営を行ってきた。昨年12月に卒業し本年一月から正社員になった一名
(女性)
は、昨年の秋学期のインターンからの横滑りである。また、インターン扱いの一名
(男性)
は、同様に昨年秋学期のインターンであったが、求職活動を十分にできないまま昨年12月に大学を卒業し、現在、他企業からのジョッブ・オファー待ちである。彼によると、現在の本職場での勤務は、インターンシップ経験として履歴書に記載することになり、卒業と同時に正社員にならなくとも彼のキャリア形成のマイナスではないという。
なお、San
Francisco State University
の卒業生である両名によると、同大学のインターンシップは単位が認定されるコースであり、セメスターの全期間にわたり勤務するもので、彼らは朝から夕方まで週に二日間勤務するという形態をとっていた。なお、インターンシップ担当教官は二週間間隔で学生に近況をe-mail
で報告させ、期末にはレポートの提出を求めている。
University of North Texas
同大学ではビジネス・スクールの会計学科の教員、およびCooperative
Education Officeの職員にインタビューを行いました。
[InternshipとCooperative
Education]
会計学科のインターンシップは、企画、学生の選抜、単位認定に学部・学科の教員が直接関与しており、プログラム運営のために担当教員
(専任教員の間で持ち回り)
を置いています。担当教員は、研修先との良好な関係の維持に努めることはもちろん、インターンの指導や単位認定を行います。
インターンシップは就職内定者をスクリーンするプロセスでもある故、学部の3年生と4年生、および修士課程学生が対象になる。インターンシップに応募できる資格要件
(学業成績等)
を満たす学生は、職場提供の申し出のあった企業の中から研修希望先を選択し、当該企業による書類選考および面接を受けます。
インターンとして採用された学生は、当該企業でセメスターの半分くらいの期間にわたり毎日出勤し正社員と同一の時間帯
(朝から夕方まで、週5日間)
で勤務します。
会計学科の狙いは、@学生に実務を体験させる、A就職の内定
(job offers)
を得させる、といったことにあります。
学生には、@実務経験を蓄積できる、A有給なので生活費の足しになる、B内定をもらえる、といった利点があります。しかし、フルタイムの勤務形態をとっているので、インターンを務めるセメスターに取得できる単位が原則としてインターンシップだけになり、卒業必要単位の早期取得に不利です。そこで、同大学では、インターンを終えたセメスター後半に取得できる、期間を短縮したインテンシブ・コースを準備し、他単位の取得の便宜を図っています。
ダラス近郊にあることから、正規の仕事を持っている社会人学生が多く、会計学科が期待するほどインターンシップの参加申し込み率は高くありません。社会人学生の応募が低いのは、実務経験を積むことの意義が小さいことに加え、職場で加入している社会保険がインターンシップによって中断されることによる経済的犠牲が大きいことによると考えられます。しかし、インターンシップ先からジョブ・オファーをもらうと否にかかわらず、有力研修先でのインターンシップの体験は、そうした犠牲を補う便益を将来にもたらすので、キャリア・アップを望む学生にはインターンシップは十分に魅力的です。
なお、企業からのインターンへの需要は高いが、会計学科の年間のインターンシップの受講者が10数名と学生の一割程度にとどまっています。このため、期間を短縮したインテンシブ・コースのクラス開講は、会計学科にとって負担になっているという。
企業にとっては、@成績等につき基準を設定し学生を大学サイドでスクリーンしていることが魅力的であり、かつ、インターン期間全体にわたり資質を観察でき、めがねにかなう学生だけにジョブ・オファーができる、A雇用期間の初期に研修を施すことでエントリー・レベルの仕事を任せ、労力として活用できる、といった利点があります。また、会計学専攻の学生は卒業までに複数のジョブ・オファーを受けるのが常であり、売り手市場の中で、早めに学生に確保することができることは中堅以下の会計事務所がインターンシップに協力する大きな動機となっています。
[Cooperative EducationとPlacement]
学部・学科が企画・運営に直接的に関与するインターンシップ・プログラムとは別に、学生に就労機会を提供する仕組に
Cooperative EducationとPlacementがあります。Placementは学生に卒業後の職場を斡旋するもので、Placement
Centerは、いわゆる就職部です。
同大学のCooperative
Educationは、Cooperative
Education Officeの職員が管理するインターンシップといえるもので、教員の直接関与がないので単位が学生に授与されないこと、就労期間が卒業までの複数セメスターに及ぶことがある、といった特徴があります。前述したインターンシップ・プログラムは一部の学科が実施しているに過ぎず、したがって、参加学生が限定されるのに対し、Cooperative
Education Programは、学業成績等の要件を充足したすべての学生に、原則として学部・学科を問わず、開放されています。なお、Cooperative
Education Officeによる学生のスクリーニング、企業による雇用までの手続はインターンシップと類似しています。教育目的を重視したアルバイトといった側面もありますが、大学によるプロセス管理が行われており、かつ、卒業後の正社員へのポジションに結びつくことが少なくないといった相違点を指摘できます。
Stanford University (ビジネス・スクール職員への質問)
学生が就職先に困らないため、インターンシップがもつ就職のための内定
(job offers)を得るという機能は価値を失います。研究中心大学である故、教員も企画、学生の選抜、単位認定といったインターンシップの運営に時間を取られることを嫌います。したがって、教員が積極的に関与し、単位認定を行うインターンシップ・プログラムは実施されていません。
しかし、本学の学生の確保を希望する企業によるインターンシップ機会の提供は多く、夏休み等の休暇期間を利用し、就労する学生は多いようです。
University of San Francisco (ビジネス・スクールのProf.
D. P. Neilson, Prof. L. W. Murray および
Prof. P. K. Takahashiにインタビュー)市内にあるキリスト教系私立大学で上智大学と提携。学生数は7500名)
学部・学科の教員が積極的に関与し単位認定を行うインターンシップ・プログラムは実施していません。地元経済が長期にわたり成長を続けており、学生は就職先に困ったことがないという。なお、学生は自らの裁量で夏休み等の休暇期間にインターン経験をするが、教員は関与していません。
Ryan & Company (ダラスで州税のコンサルティングと申告を業務とする会計事務所で、シニア・パートナーのMr.
G. Bouchillonにインタビュー)
同社は急成長を続けており、現在の社員数は120名程度)
インターンシップ・プログラムに協力している最大の意図は、会計学専攻の学部3、4年生の中から優秀な学生を見つけてジョブ・オファーを行い、卒業後に彼らを正社員として自社に迎え入れることにあります。インターンの大多数にジョブ・オファーをするが、Big
Sixの事務所に流れる者が少なくありません。、採用率が低くとも、先行投資と割り切り、新入社員と同等額の報酬を保証し、かつ、インターン期間の初期に新規採用の正社員と同等の研修を施し、実のある仕事を任すことでインターンシップの魅力を高め、また、仕事内容への理解を高めることで、同社はジョブ・オファーの受諾率の改善を狙っています。これは、優秀な人材の獲得が同社の成長に不可欠であるとの経営サイドの意識の表れと言えます。
要約
1.
インターンシップに対する取り組は大学、学部、学科により多様である。学生がよい職場からジョブ・オファーを受けるような環境作りをしなければならないとの意識が強いほど、教員サイドのインターンシップ実施への意欲および協力が高い。大学、学部、あるいは学科によっては、選択科目ではなく、医学部の場合と同様に、必須科目にしている。労働市場がタイトで学生の売り手市場の米国では、就職支援の必要がないと考えている学部・学科が少なくなく、そうした所では教員によるインターンシップへの取り組はみられない。研究中心の大学では教員の時間をとる単位認定形のインターンシップは実施されていない。
2.
優秀な人材の獲得に積極的に働きかける必要がある企業ほど、
インターンシップに積極的であり、自社の受け入れ態勢を魅力あるものにしようとする意欲が強い。
3.
キャリア・アップの意欲が強い学生ほど、ジョブ・オファーを得たい職場、あるいは、インターンシップ経験の記載が履歴書を魅力あるものする職場でのインターンシップの獲得に熱意を燃やす。しかし、魅力的な職場に対しては数多くの学生がインターンシップを申し込んでおり、競争倍率は大変に高い。
4.
小さな企業では、インターンを継続的に採って要員計画に組み込んでいる。
5.
正規の仕事をもっているパートタイムの学生は、キャリア・アップという動機以外には、インターンシップに参加する動機を欠く。
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